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PMDA回収情報から読み解く、化粧品製造の注意点

2020年2月27日

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構の2019年度の回収情報を調べたところ、クラスⅠは全39件で、すべて医薬品であった。クラスⅡは全162件のうち、化粧品は53件、医薬部外品は14件であった。一方、クラスⅢは全18件のうち、化粧品は15件、医薬部外品は0件であった(2020年1月末現在)。クラス別ではクラスⅡの割合が多く、74%を占める。
ここで、クラスⅠとは、その製品の使用等が、重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る状況をいう。クラスⅡとは、その製品の使用等が、一時的な若しくは医学的に治癒可能な健康被害の原因となる可能性がある状況又はその製品の使用等による重篤な健康被害のおそれはまず考えられない状況をいう。クラスⅢとは、その製品の使用等が、健康被害の原因となるとはまず考えられない状況をいう。
それでは、クラスⅡの化粧品の回収53件の回収理由を見てみよう。
回収理由のうち、44%は表示上の問題、30%は製造上の問題、18%は品質上の問題、8%は法的な問題であった。
表示上の問題では、成分表示の誤り、販売名の誤り、製造販売業者の氏名・住所の不記載等が挙げられる。製造上の問題では、誤充填、禁止成分の混入、原料の誤り等が挙げられる。
品質上の問題では、変色、細菌検出、異物混入等が挙げられる。法的な問題では、化粧品製造販売届書未届け、無許可製造所での製造が挙げられる。

“成分表示の誤り”の原因について考えてみると、以下が挙げられる。
① 決定処方の各原料の表示名称が正しく表示されていない
② 成分表示の順番の誤り
③ 処方変更した場合の、処方とパッケージの全成分表示の不適合

① については、決定処方から全成分表示を作成する場合、すべての使用原料について表示名称を正しく把握しなくてはならない。原料会社から成分表を取り寄せ、すべての表示名称と配合量を確認する必要がある。特に使用原料が混合原料である場合は、要注意である。キャリーオーバー成分の取り扱いも要検討である。
② については、全成分表示は決定処方に基づき、全成分を配合量の多い順に並べることになる。1%以下は順不同で構わない。いろいろな原料に含まれる成分(水、BGなど)は、すべて足し合わせて、多い順に並べ替える必要があり、きちんと確認しないと順番が変わってしまう可能性もある。
③ については、処方が変わっても微調整の場合は全成分表示の順番は変わらないこともある。しかし、全成分表示の並ぶ順番が変わる場合は、パッケージの全成分表示を修正することになる。そうした場合、どの製造ロットから処方が変わるか確認し、処方に適合したパッケージに充填する必要がある。きちんと管理していないと、新処方のバルクを旧パッケージに詰めてしまったり、旧処方のバルクを新パッケージに詰めてしまって、バルク処方とパッケージの全成分表示が不適合になってしまう可能性がある。

“販売名の誤り”の原因としてよくあるのは、販売名のスペースの問題である。化粧品製造販売届書には「〇〇〇○○ モイスチャーローション」と記載したのに、パッケージの表示は「〇〇〇○○モイスチャー ローション」となっていたというような場合である。化粧品製造販売届書の通りに記載しないとNGである。

“誤充填”の原因として挙げられるのは、香りが何種類もある場合や、色番が何種類もある場合である。バルクとパッケージの適合を十分確認して充填しないと、処方とパッケージの全成分表示や販売名に不適合が起こる可能性がある。

“配合禁止成分の混入”については、輸入したマニキュアからホルムアルデヒドやメタノールが検出された事例が挙げられる。海外では配合が認められている場合もあるので、日本に輸入する場合は、事前にこれらの配合禁止成分が検出されないか分析試験をしておく必要がある。また、重金属、ヒ素なども国によって規制が異なるので事前に分析試験を行って確認しておく必要がある。

“変色”については、メイキャップ製品の退色等の事例がある。事前に経時安定性を評価しておく必要がある。そのためには、高温恒温槽(40℃や50℃)や退色試験機(紫外線を発生する装置)にて加速試験を行う必要がある。バルクとパッケージとの兼ね合いもあり、変色する可能性があれば、容器を不透明にして変色をわかりにくくする、というような対策も取れる。

“細菌検出”については、事前にチャレンジテストを実施して防腐力を確認しておく必要がある。これは、バルクに5種類の菌を植えて経時的に菌数の減少を確認する試験である。防腐剤をなるべく少なくして、お肌への安全性を高めるコンセプトの製品は、使用中に空中落下菌が混入して菌が発生して変臭が生じる場合があり、要注意である。

“化粧品製造販売届書未届け”については、開発スケジュールを管理する必要がある。
化粧品開発の手順は、一般的に以下のようになる。
① 商品の企画(商品企画部)
② 処方開発(研究所)
③ 処方決定(商品企画部)
④ 全成分表示等表示事項の決定(研究所)
⑤ パッケージ作成(商品部)
⑥ 工場にてバルク製造(工場)
⑦ パッケージにバルク充填(工場)
⑧ 商品の完成(工場)
⑨ 化粧品製造販売届書の届出(薬事部)
⑩ 市場へ出荷(倉庫)
市場へ商品が出荷される前に、化粧品製造販売届書を届出する必要があり、会社内の部署間の連携やスケジュール管理ができていないと、化粧品製造販売届書を出す前に発売してしまった、というような事態になる。

次に、クラスⅡの医薬部外品の回収14件の回収理由を見てみよう。
上位にあるのは、有効成分規格逸脱、承認と異なる規格の原料使用、細菌検出である。

“有効成分規格逸脱”については、医薬部外品の有効成分には規格があり、通常配合量の±10%の範囲である。これは、製造時はもちろん、製造3年後まで保証しなくてはならない。
加速試験として、40℃、6ヶ月後に規格内であれば問題ない。医薬部外品承認申請時にはこの点を確認しているはずである。“有効成分規格逸脱”の原因としては、計量ミスで有効成分の配合量が規格外であったのに、定量試験が不適切で発見できず出荷してしまった場合等が考えられる。

“承認と異なる規格の原料使用”については、同じ成分でも、その規格が外原規(医薬部外品規格2006)、日局(日本薬局方)、局外規(日本薬局方外医薬品規格2002)とあり、その内容が微妙に異なる場合がある。有効成分の規格を外原規として承認を受けた場合は、外原規に合致する原料を使わないと、承認に適合しないことになる。
以上、医薬品医療機器総合機構の2019年度の回収情報をもとに、知見を述べてきたが、全体的にケアレスミスが多いという印象である。これは中小メーカーに限らず大手メーカーにも当てはまる。
回収問題が発生してしまった場合は、消費者の健康被害の拡大を防ぐため、早急な対応が必要である。まず、都道府県への連絡、商品の販売先や在庫先への回収の連絡、市場からの商品回収、商品の廃棄、都道府県への報告等である。回収が終わった後は自己点検を実施し、同様の問題を起こさないために、問題発生の原因と対策を立てる必要がある。社内だけで検討するより、外部のコンサルタントのアドバイスを受けるのも有効かもしれない。


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